繋がりは大切だけど、繋がることですべて上手くいく訳じゃない。
その繋がりが負担になることもあるし、
藪蛇な場合もあるし、
繋がりを拒絶されることもある。
それでも繋がらなくちゃ何も始まらない。
一人で何とかなるなんて思わない方がいい。
紆余曲折で思い通りに行かないのが人の世。
あきらめないこと。
決してあきらめないことが大切。
服役中、同じ工場に売人さんがいました。
モモと同年代くらいだと思いますが、見るからに普通のお兄さん。でも脱いだらジーザスのタトゥーがあったかな…。モモより少しばかり刑期が長かったので、先に出所するモモがどれくらい仮釈をもらえるかの話しばかりしていましたが、シャバでは顧客に有名人が何人かいたようで、ここに書けないような危ないお話しやエッチなお話し、誰某に売ったとかいろんなお話しを聞かせてくれました。
「え〜!あの人がぁ〜!」
誰でも知ってるあの人が…やってるんだ…。
聞いた時はビックリしたけど、いきなりテレビなどに出なくなったから本当なのかもしれない。けど、逮捕もされてないからわからない。
売人のお兄さんはシャバにいた頃は毎日ホテル住まいで、ベッドの上に万札をばら撒いて寝たこともあると言っていました。
金に困ることはなく、セックスもやりたい放題だったと話してました。
ただ、食生活が良くなかったみたい。
いつもハンバーガーやコンビニ弁当ばかりを食べていたそうで、時間も不規則だったようです。
逮捕時は、滞在中のホテルに警察が来て逮捕されたそうですが、シャブの売上も自分自身の持ち金もすべて没収されたそうで、それを悔しがってた。
出所したらまた売人をやるしかないみたいなことを言っていましたが、話す度に「ちゃんとした美味しいものを食べたい」って口癖のように言ってました。たくさん稼いでるのに何でって思ったけど、まともな食事をしたいという気持ちは本当だった気がする。
薬物をやめたい、売人もやめたい。
今度捕まったら麻薬特別法とかでかなり長くなるから…。そんなことを話した記憶もありますが、刑務所に来るお手紙は売人仲間からだし、仲間から待っていると言われてるみたいだし、
売人してた時の生活にも未練があるようでした。
帰る場所はそこしかない…。
そこしか見えなくなってる。
リスクもあるけど、それも繋がりだと思う。
薬物依存症に罹患していて刑務所の環境で症状が止まってるだけだから、薬物に支配された脳は人生の選択まで狭めてしまう。
「出所したら一発入れて、元気になってからいろいろやりたい」
それもよく言う言葉でしたが、
「◯◯さん、やめれる?」
「◯◯さんはやめれそう?」
これも、よく言っていました。
モモはわからないって答えていましたが、
たぶん彼も、やめれるならやめたいという気持ちがあったような気がします。
売人の生活を面白おかしく話していましたが、話しながらもそのリスクも感じているような話しもしていました。
モモが工場で理不尽な目にあってる時に、その状況を把握して影ながら優しい言葉をかけれる人でした。
彼も五年弱は服役してたので、世の中も変わったと感じているはず、売人に戻っているかもしれないけど、刑務所に戻らないで、元気でいてほしいものです。