薬物依存症からの回復を目指す

モモちゃの言いっぱなし!

Books for Addiction (依存症のための本) ①

薬物依存症の本を初めて手にしたのは二度目の服役時でした...。

本を読んで依存症が治るって訳じゃないし、本に依存症を治す方法が書かれてる訳でもない。薬物やギャンブル、お酒を止めるためのコツも書かれてないし、完治した人の成功談が書かれてる訳でもない。

いつも物思うのは、心構えと行動が大事だって事。心構えとは準備するという事だけど、準備するというのは知識をつけるという事。

そんな思いでモモはたくさん本を読んできました。

依存症と向き合う時、精神力では到底太刀打ちできない。

知識と迷いのない行動で回復の道を進み、失敗があったとしてもなるべく早く立ち上がる。

依存症は不治の病と言われる事もある完治できない病とも言われてるよね?!

でも、場合によっては病気の進行を止めることが出来る。

これ以上悪くならないようにするという行動ができて、それが治療や回復につながる。

モモ自身、今はその状況にいると思っています。

今回の記事では、モモが読んで良かったと思った依存症に関する本を、二回に分けて数冊ご紹介したと思いますぅ。

(本の商品情報は一番下に掲載してますぅ)

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最初に読んだのは、今現在モモが通院してる依存症外来の医師、松本俊彦医師の本です。ちなみに松本医師はモモの主治医です。

アディクションスタディーズ」薬物依存症を捉えなおす13章

本の内容は、松本俊彦医師を含む11人からなるそれぞれ薬物依存症に携わる人たちが書かれたお話が収録されています。情報としては簡易な情報ですが、薬物の歴史や違法になっていく様、ダルクの事、今の日本の薬物対策や司法制度の事など13の項目で書かれています。

※保釈中、ネットで依存症の事を調べていてこの本を知りました。本の前書きの一部が掲載されているのを読み、その内容に共感するものがあり名前を覚えていました。大物芸能人の薬物事件が続いた時期に松本医師が民放のテレビ討論番組に出演された時のお話でしたが、番組内で薬物依存症は病気だという事と、依存症は刑罰では解決できないことなどを主張し、話せる事はほぼ話せたと思いながらも、世間の理解が得られず、スティグマやアンチのコメントが多かったことを吐露されている内容でした。服役中、家族に手紙で松本医師の名前を伝え、家族に探してもらい差し入れされた本を施設で読みました。薬物が生き辛さを感じる人の杖になっているという考え方を知りえた本であり、テレビで見たハームリダクションを少し掘り下げて知ることができた本です。あくまでも簡易な情報ですが、薬物依存症回復施設ダルクの事も書かれていて、多様な分野の項目があるので読んでみてもいいと思います。

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もうひとつ松本医師の著作本になります。

「誰がために医師はいる!」クスリとヒトの現代論

本の内容は、松本医師が長年嗜癖障害者に向き合ってきた経験から、今の社会に依存症の正しい知識を訴えかける迫真のエッセイが綴られています。松本医師自身の人生も追体験できる内容になっていて、松本医師が挑み、闘ってきた精神科医の半生記です。

※モモはYouTubeでこの本を知りました。松本医師ではない二人の医師のトーク動画でしたが、現役の医者が、脳が萎縮して廃人になるのは覚醒剤ではなくてアルコールの方だと言い切っているのを初めて聞いた動画でした。その番組で紹介されていた本です。精神医療に携わる松本医師だからこその薬物と人間の関係性が描かれていたと思います。依存物質を止めることができたにも拘わらず自死をしてしまう患者。法律を守り死んでしまうなんて、戦時中、食糧管理法を守って闇物資を買わずに餓死した人がいたという山田太一さんのドラマの話を思い出します。みんな法律を破ってヤミ物資を買い、飢餓を凌いだからこそ生きていけたんですよね。

法律の上に人間が生きているのであって、

法律の下に生きているのではない。

最近施行された大麻使用罪はいかがなものかとも思います...。

この本を読んで、自分の依存症に対する考え方と社会の偏見を真剣に考えるようになったと思います。偏見といえば、昔、薬物依存症の本を書店に行って探した事が一度だけありました。でも、コーナーもわかりづらく、あっても少ないスペースに若干の本があるだけ...。しかもおどろおどろしい派手なカバーの本ばかりで、セックスドラック感が強調された如何にも悪癖のための薬物だと印象つけるような本の装丁だったと思います。その差別的な本のタイトルも、依存症は二の次に、売れればいいだけの色モノ扱いだとも感じました。

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三冊目は、以前ブログにも記事にした本ですが、これも良い本だったので改めて紹介します。

麻薬と人間 100年の物語」ヨハン・ハリ著

副題として、薬物の認識を変える衝撃の真実とあります。著者は作家でジャーナリストでもあります。彼の著作本に対しては様々な問題が持ち上がっていたようですが、その問題点を受け入れているようです。Jazzシンガーのビリーホリデーとアメリカンギャング、そして取り締まる司法、連邦麻薬取締局を通して、アメリカの薬物政策の闇やその歴史、差別の問題など、明らかに初めて知る知識が書かれていました。ハームリダクション的な医師の活動の概要も書かれていて、アディクション(依存症)の対義語はコネクション(つながり)であるという考え方が強調された本です。

※松本医師の他、科学者の本を貪るように読み、依存症についてある程度の知識をモモはつけてたので衝撃的な認識の変化はありませんでしたが、世界的な違法薬物に対するハームリダクション対策の関係者の考え方が書かれていると思いました。著者自身に問題があったとはいえ書かれている内容は依存症の考え方に一石を投じる本だと思います。あと、これはモモの主観的な感想ですが、この本には裏のテーマがあるような気がしました。薬物を違法にすることでブラックマーケットに流れ、ギャングが莫大な富を築くシステム。そのギャングは政界や司法とも繋がっている。...そんな流れを感じた内容でした。もしかしたら、日本でもこういうことがあったりしないのかなぁ...ってね。ちなみに、この本は「ザ・ユナイテッド・ステイツVSビリー・ホリデー」というタイトルで映画化されています。

つづく...

 

 

本の情報(この三冊は薬物依存症に特化した本です)

アディクションスタディーズ 薬物依存症を捉えなおす13章 

  松本俊彦編 日本評論社

☆「誰がために医師はいる」クスリとヒトの現代論

  松本俊彦 みすず書房

☆「麻薬と人間 100年の物語」

  ヨハン・ハリ 作品社